「どうしてKGKが私と同じ学校に通ってる事を知ってるんですか?普通科の生徒ですら知らない情報なのに」
「実は俺の弟は青蘭の芸能科に通っていて、セイと同じクラスなんだ。つまり、科は違うけど紗南ちゃんと同学年なんだ」
「……と、言うと。一橋さんの弟は芸能人?」
「あはは、自分でバラしちゃったね。実は雑誌の専属モデルをやってるんだ。まだ新人だけどね」
一橋は照れ臭そうに目尻を下げた。
学校としては口外無用な極秘情報だが、こうやって身内からポロリと溢れてしまう事もある。
彼自身がモデルのように容姿端麗だから、弟がモデルをやっていると聞かされてもイメージが湧く。
「凄いな…。でも、芸能界って弱肉強食の世界みたいですよね」
「弟は仕事から帰宅すると愚痴ばかりだよ。カメラマンの指示が気に食わないとか、モデルの女の子の態度や口が悪いとか」
「へぇ」
「……さ、問題集の続きを始めないとあっという間にタイムリミットになっちゃうよ」
「あ……、はい。急いで問題を解きますね」
一旦話に区切りがつくと、紗南は再び問題を解き始めた。
一橋さんの弟は芸能科でセイくんと同じクラス……か。
滅多にないほど偶然。