一橋は一旦気分転換にと思い、壁に貼ってあるポスターを見て、紗南の得意そうな分野の雑談を始めた。



「紗南ちゃんって、KGKのセイのファンなの?」



紗南はタイムリーでピンポイントな質問により、思わず心臓が飛び出しそうになった。



「えっ!どどど…どうして?」

「壁にKGKとセイのポスターが貼ってあるから。紗南ちゃんはセイのファンなんだよね」



ベッドを囲むように壁二面に貼ってある巨大ポスターは、彼と付き合い始めた当日に買いに行ったもの。
人気歌手のポスターはすんなりと入手出来る。



「あ……、はい。KGKの…う…歌が好きで」



本音を言えば、歌よりもセイくんに夢中。

極秘恋愛をしている今は、この先もずっと彼に本音を語る機会は訪れないだろう。