楽屋でジュンに気持ちが逆撫ですると、持っているスマホを鏡台の上に叩きつけ、不機嫌な気持ちを露わにした。



「あいつは昔から俺の心の拠り所だから。今は狭い保健室での恋愛しか出来ていないけど、俺には誰にも邪魔されない最高の空間なの」

「はぁ⋯⋯、俺にはお前の気持ちが理解出来ないね。そんなんで現状満足してんの?」


「⋯いや、してないけど」

「じゃあ、これからどうやって恋愛していくつもり?卒業したら彼女とどうやって会うの?熱愛がスクープされたら?」


「それは⋯⋯⋯。ただ、あいつと別れを経験した時に一生分の後悔をしたから、次に会った時はもう二度と手放さないって心に誓ったんだ」



再会の約束をしたばかりのあの時は、まさかこんなに長い年月が犠牲になるとは思わなかった。
紗南の笑顔が見れなくなるのがこんなに辛いなんて、幼い頃の俺は知るはずもない。



だから、次に会えたらもう二度と後悔しないような恋愛をしていこうと決めていた。