彼女は彼との関係をとっくに見抜いていた。
だから、いきなりレッドカードを突きつけてきたんだ。


注意を促すイエローカードではない。
一発退場のレッドカードだ。




芸能人と付き合い始めたからこの先厳しい展開が訪れていくんじゃないかと予想はしていたけど、まさかこんな早く最初のハードルが訪れるなんて。



6年越しに手にした恋。
大切に温めて行こうと思っている矢先の出来事だった。



紗南は難しい選択が迫られ、表情を曇らせた。



「貴方はまだ子供だからセイという商品価値がわからないのよ。まぁ、貴方が嫌と言っても、徐々に現実を知っていくわ」

「……」


「恋愛の深みにハマる前に、貴方の方から離れてくれない?最終的に傷付くのはセイじゃない。貴方自身なのよ」

「………っ」


「…それじゃ、この辺で失礼するわ」



冴木は言いたい事を言い終えると、返事を待たずに職員室の方へと消えて行った。



彼女からの厳しい警告は、まるで底なし沼に足を吸い込まれていくような感覚に近い。