「ズビッ……、っぐ。……ズビッ……っ」



声を漏らさぬよう注意を払っていたのに、涙が滝のように溢れていくうちにすすり泣く声がカーテンから漏れていた。

すると、セイはすかさず反応する。



「泣いてんの?」

「……ううん。泣いてなんか…ない」



ちっぽけなプライドを守る為に嘘をついた。
証拠隠滅するかのように右手でゴシゴシ涙を拭う。



「相変わらずお前は泣き虫だな」



ふっと笑う声が彼の届く。



「泣き虫なんかじゃないっ…」

「まー、そんなところも引っくるめて全部好きなんだけどね」


「……っ!」



ほんの小さなプライドは、一枚上手な彼の愛によっていとも簡単に崩される。
まるでモグラ叩きゲームの、モグラになったような気分に。