「私、実は2年前に星マークの上履きの彼に恋をしていました。彼は幼馴染で昔から好きな人でした。本当は身体のどこも悪くないのに、彼に会う為に仮病を使って保健室に入り浸っていました。先生に嘘をついててごめんなさい」

「……そう。それで?(勿論知ってる)」


「ここで彼と恋愛していたんです。彼は忙しい人だから、ベッドの隣から声が聞こえるだけでも幸せで」

「うん……」


「でも、彼の留学が決まってから私の判断が迫られる事が多くなって。私が留学の足かせになっていたり、第三者に彼の人気を思い知らされてしまったり。自分は彼の為に何をしてあげれるのかなって考えたりもして。次第に自分が彼の人生の邪魔をしてるんじゃないかって思うようになって…」



話を進めてるうちに、辛い過去がまるで昨日の出来事のように蘇ってきた。



「……それで?」

「そう考えているうちに、彼と別れようって思いました」


「どうして?」

「彼が好きだったからです」


「じゃあ、どうして別れたの?」

「私が彼の一番のファンだったから」



俯きざまに髪で顔が隠れた紗南は膝に作った拳に涙をポタポタと零した。