ーー時刻は14時56分。

彼が日本に到着してから、およそ4時間経過。

私が母校に来た理由は、彼と会えそうな場所はここしかないと思ったから。




でも、よく考えてみたら彼がここへ来る可能性は低い。
用もないのに、帰国直後に中退した母校になんて来るはずがない。






紗南は約2年振りに普通科の生徒のみが利用する東門をくぐり、昇降口から校舎へ上がった。

スリッパなど便利品は持ち合わせていないから、冷たい床に足を落とすしかない。





古びた校舎は学生時代のあの頃と変わらぬまま。
今日の校舎内はとても静かで人の話し声どころか物音1つすらしない。


早速廊下を歩くと、最初の並びにある1年生の教室の照明は全て落とされていた。



あ……、そっか。
大雪警報が出ているから、交通機関の乱れを予測して下校時刻を早めたか、休校措置をとったかどっちかだよね。

こんなに悪天候なのに生徒を校内に止まらせる訳ないか。