ザクッ……ザクッ……ザクッ……



2年前まで通学時で見慣れていた景色は、白い雪に塗り固められている。


大雪警報が出ているせいか、人通りや車通りが非常に少ない。
静寂に包まれた街を、鉛のような重い足取りで歩く。



靴底で感じる分厚い雪の層。
氷の上を歩いてるような冷たい感触が、足裏からじんじん伝わる。
頭から雪を被り、肩周りはうっすらとした白い雪のマフラーを巻いてるかのよう。

でも、冷たくて白い雪とは対照的に泣き腫らした赤い目は熱を帯びている。






傘、忘れた…。
急いで校舎を飛び出したから学食のテーブルに掛けたまま。

普段ならこんなうっかりミスはしないのに。
バカみたい。




足元の悪い道を無我夢中で走って。
恥ずかしげもなく駅で泣き崩れ。
呆然としたまま電車に乗った。


心と身体のバランスを保たせながら散々悩んだ挙句、最終的に辿り着いた場所。




ーーそこは。

3年間通い詰めた、母校の青蘭高校。


ここは、芸能科の彼が厳しい校内ルールを破って、普通科の私に会いに来た2人の唯一の思い出の場所。