綿菓子のように口から漏れる半透明な白い息。
赤く染まった頬に叩きつける雪結晶。
愛しさが溢れて瞳にたまった透明の涙は、雪混じりの冷たい風にさらされている。


銀世界に包まれていても寒いと感じないのは、彼の事で頭がいっぱいになっているから。





恋人だったあの時は、僅かにしか持てなかった2人きりの時間。
急に途絶えてしまった連絡手段。
別れを告げなければならなくなった、重くのしかかっていた辛い現実。


そして、2年という長い歳月の別れ。



恋の荒波に飲み込まれながらも、今日という日を迎えるまで頑張って来れたのは、この恋が正真正銘本物だったから。




⋯⋯バカだね、私。

あんなに交際を猛反対されたのに、2年経っても未だに恋を諦められないなんて。

またセイくんに近付こうとしているなんて知られたら、また引き離されてしまうかもしれないのにね。