10分程度の簡単なマスコミ取材を終えると、3人は駐車場へ。

すると、2歩ほど遅らせて歩いていたジュンは、先程冴木に手渡された手元のスマホに目を通すなり足をピタリ停止させた。



「冴木さん。俺、家族が車で近くまで迎えに来てるから、ここでお別れ~」



冴木とセイは揃って後方にいるジュンへ振り返る。



「あら、そう…。家族が迎えに来てくれて良かったわね。今日は家族水入らずで過ごしてね。また明日連絡するから」

「あー、はい。んじゃ」

「ジュン、お疲れ。またな」



慣れない長旅で疲労困憊のジュンだったが、久しぶりの母国に少し安心したかのような表情で手を振りながら去って行った。

ジュンを軽く見送った後、2人は再び駐車場へ。



「今日は大雪なんだね」



セイは冴木から渡された傘を軒下から開いて空を見上げ、フーッと白い息を吐く。
一歩足を踏み出すと、黒のエンジニアブーツは4センチほど雪の中に埋もれた。



「そうね。足元が滑るから気を付けてね」

「足首が完全に浸かるまで、あともう少しかな……」



セイは足音を立てながら一歩一歩雪を踏みしめていると、小学生時代に紗南とお別れした時に誓ったあの時のセリフを思い出した。



あいつはあの時の約束をまだ覚えているかな。



再会の時を懐かしく思ったらクスッと笑い声が漏れた。