ーーKGKがメディアから姿を消した2年後の、2月中旬。

冷凍庫の中にいるような冷たい風が、大学に向かう私の鼻の奥をツンと刺激した。



今日は昼から大雪警報が発令されている。

外気で身体を冷やさぬようにと、マフラーと手袋を装着し、暖かい服装をして玄関を出た。








大学の最寄駅に到着すると、身に纏っている黒いコートに、空から舞い降りてきた小さな粉雪が付着した。
頬に触れた雪はあっという間に雫に変身。





大学で講義を聴きながら窓の外に目を向けると、雪の粒は更に大きさを増していた。

景色が徐々に銀世界に染まっていくと、小学5年生の時の声楽教室の最終日の帰り道で、彼がお別れの時に言っていた言葉を思い出した。



『足首が浸かるくらい大雪が降ったら、俺達はまた会おう』



そのセリフを伝えられてから、約6年後の大雪の日に、通っていた高校の保健室で偶然彼と再会。

あの時彼に会う事が出来たから、雪が降ってるだけでもまた彼に会えるんじゃないかと期待してしまっている自分がいる。