一途に想ってくれていた彼を忘れていかないように、毎日幻想を抱いていた。


背はこのくらいだったかなとか。
体温は私よりも少し高めだったかなとか。
抱き寄せた力はこれくらいだったかなとか…。


彼の記憶が風化していかないように、ポスターを眺めながら毎日想い続けている。





でも……。

優しくしてくれた分、辛くなる。
会えなくなった分、恋しくなる。
好きでいた分、枯れそうになる。




寂しくてどうしようもなく恋しい時は、KGKの曲を聴きながら、繋がらなくなった彼のスマホに電話をする。

そして、通信会社の音声ガイダンスが流れたら、彼は仕事で忙しいんだと自分の心を騙して通話終了ボタンを押す。


でも、人間の心はそう簡単に騙されてはくれない。