養護教諭は職員室で用事を済ませ保健室へと戻り、セイに仕事の出発時間を伝える為に窓際のベッドのカーテンに手をかけた。
「セイ、そろそろ出発の時間だよ」
カーテンの隙間から顔を覗かせ、いつもと変わらず軽やかな声を届けたが⋯⋯⋯。
目線の先には、ベッドで熟睡しているセイと、セイの腕枕でスヤスヤ眠っている紗南の姿が。
奇しくも驚愕的な現場を目撃してしまう。
「きゃあっ!」
咄嗟反応により思わず悲鳴をあげた。
2人はたかが1分程度の添い寝のつもりが、お互いの心地良さにつられ眠りに落ちていた。
ベッドに寄り添って眠っているのは保健室の常連者である2人だと知ると、強張った表情が徐々に緩和していく。
「……大スクープね。マスコミに知れたら、セイは世間に瞬殺されるわよ」
男女交際禁止の学校のベッドでぐっすり眠っている2人に呆れると、フゥと深いため息が漏れた。