ーー19時38分。

ここは、毎日多くの国内外の便が空を飛び交う国際空港。


セイは出国手続きを終えて荷物をチェックインカウンターに預けると、見送りに来ている冴木と共に国際線の出発口へと向かった。



夜便にも関わらず、数百人ほどのファンが見送りに。
まるで通夜のような暗い雰囲気の中、別れを惜しみ最後の姿をしっかりと目に焼き付けている。





場内アナウンスに包まれながら、ジュンと肩を並べて出発口に向かうセイ。

時たま小さな期待を寄せて軽く辺りを見回すが、当然紗南の姿は見当たらない。



「来る訳……ない…か」



淡い期待は砕け散り、影を落とした表情で深くため息をつく。

すると、セイの気持ちを汲み取ったジュンは、無言で肩をポンと叩いた。