「縁ね……」

「アメリカで一度頭の中をリセットしよう。辛い思い出を日本に置き去りにしてさ。新しい奇跡に期待を抱いて頑張っていこうぜ」



そう言ったジュンは、勢いよくセイの肩に手を回した。
すると、身体に振動が伝わった瞬間、セイはつい先日紗南が口にしていたセリフを思い出した。



『留学……。頑張って行って来て。私の事は何も心配しなくて大丈夫』

『寂しくないって言ったら嘘になるけど、今回希望しているアメリカ留学はセイくんの夢だったんでしょ』

『セイくんのファンの一員として誰よりも応援してるから頑張って!』



紗南の応援は魔法のよう。
1つ1つがパワーの源になる。



離れ離れになって寂しいのは彼女も一緒だって教えてくれたのに、別れ話を切り出された途端、俺は冷静さに欠けて大切なものを見過ごしていた。

紗南の期待に応えてあげなきゃいけないのに…。