「ねぇ、紗南」

「……うん?」


「俺さ、テレビ越しからお前に秘密のメッセージを送る事にしたよ」

「えっ、秘密のメッセージ?」


「⋯⋯⋯そ。会えない時や連絡がつかない時でも、いつもお前の事を考えている証拠にしたいなと思って」



紗南は急な提案に目をパチクリ。
セイは紗南の目の前で指先で半円を作って上下にずらしエスマークを象った。



「ローマ字表記のセイ(SEI)のSと、紗南(SANA)のS。きっと、このマークなら誰にも2人の共通のサインだってバレないだろ?」

「セイくんはニックネームだけど、2人ともローマ字の頭文字がSなんだね」


「遠くにいてもメッセージを届ける事が出来たら、離れててもきっと繋がり合える。だから、このSマークは2人の間だけの特別なサインにしよう」



セイはそう言うと、アイドルらしき笑顔でニカッと笑った。
紗南は口を固く結ぶと小さくコクンと頷く。


すると、セイは眠たそうに大きなあくびを1つ。



「ふぁ〜〜ぁ。お前って、あったかくて抱き心地いいな」



睡眠不足と蓄積している疲労により、急激に眠気に襲われたセイは瞼をゆっくり閉じた。