ジュンは落ち着きを取り戻したタイミングを見計らって、話を本題へと引っ張り戻した。



「ひょっとして、さっき彼女に向けて言っていた第三者ってのは、冴木さんの事?」

「あぁ」


「確かに冴木さんは彼女を別れさせようとしたり、スマホを没収したり。部外者の俺から見てもやり過ぎだなって思う。…ま、俺がお前の立場だったら絶対耐えられないけどね~」

「だろーな」


「でもさ、俺らに人生を捧げてきた冴木さんが、どうして汚い手を使ってまで彼女との間を引き裂こうとしていたか考えてみた?」

「それは、留学の件があるから」


「理由は本当にそれだけだと思う?」

「どーゆー事?」


「留学が理由なら別れる必要なくない?どうせ、彼女とは2年間離れ離れになるんだから」

「じゃあ、事務所の規約で恋愛禁止だから?」


「それもあると思うけど、俺には別の理由もあると思う」

「例えばどんな?」


「さぁね。でも、冴木さんは時々寂しそうな目でお前を見ていたから、何か冴木さんなりの想いがあったんじゃないかな」



マネジメントの仕事を頑張ってくれていたいいイメージが、今は紗南との間を引き裂こうとしていた悪いイメージに飲み込まれてしまっている。



でも、冴木さんの事が嫌いな訳じゃない。
冴木さんが居てこそのKGKだから。
デビュー前から二人三脚で頑張ってきたし、今でも1人の人間として尊敬している。


だけど、意図的に紗南を遠ざけようとした事に関しては、誰に何を言われても許せそうにない。