ジュンは突然何かが舞い降りてきたかのように、キリッとした眼差しを向けた。



「はっきり言って、今のお前は自分の事しか考えていない」

「…え、俺?」


「紗南がどうして別れようと思ったのか、少しは考えたの?」


「…考えるには時間が足りなかったし」



思い返せば、今朝紗南に別れを告げられてから心に余裕がなくなり、この世が終わるのではないかと思うくらい気が動転していた。

でも、本当は何も出来なかった自分への言い訳に過ぎない。



「だろ。それに、もしお互い本気で恋愛しているなら、第三者にどうこう言われたとしても関係なくね?」



ジュンの言う通り。
俺は自分の事で頭がいっぱいだった。
紗南がどうして手の平を返したかのように突然別れたいって言ってきたのか、考えもしなかった。