警備員に連行された後は、職員室で教頭先生と学年主任と担任の3人に囲まれて叱られた。
帰宅してからも、学校から連絡を受けた両親に叱られた。

ただですら落ち込んでいたのに、雷が連続して襲いかかった。







布団の中に潜り込んで冷静に考えてみたら、男女交際禁止の学校で、好きな人に会う為に規則を破って西校舎に侵入するなんて、さすがにやり過ぎた。

常識的な事さえ思い浮かばなかったのは、きっと恋愛中毒を引き起こしていたから。





結局、音信不通になった理由がわからないまま、彼は学校と共に芸能界を去って行った。


後に気になった事が1つ。
私は校内の生徒のみならず、知らない人からも噂されるようになった。




それから数年が経ち、失跡した彼を探す為に芸能マネージャーの道を選んだ。
この仕事に就けば、彼が表舞台から姿を消してしまった理由に辿り着きそうな気がしたから。






そして、あれから10年後の今。
彼に纏わる情報は未だに入手出来ていない。


いま何処で暮らしているのか。
どんな職業に就いてるのか。
結婚してるのか。

もう、子供がいてもおかしくない年齢になった。



最後に目を合わせたあの日、お別れの言葉さえ伝える事の出来なかった彼は、10年経った今も変わらずに元気に過ごしているのだろうか。