それにしても⋯⋯⋯⋯、近い
今朝まで巨大ポスターで見ていた人物の顔が、いま自分の目の前に。



ドクン ドクン……



脳みそにも心臓が存在してるんじゃないかと思うくらい、全身に強い鼓動を感じる。

正直、緊張してるのがバレたくない。
もう少し余裕に振る舞いたいと思うけど、照れ臭くて頭がクラクラする。

しかも、手をどこに置いたらいいかわからないし、目線はどこに向ければいいか…。









カーテンから間接的に降り注ぐ日差し。
体温が伝わる温かい胸。
ふわりと鼻をくすぐる香り。

思わず鼻をクンクン揺れ動かす。




最高に幸せ。
意識しなくても顔が綻んじゃう。

ずっと、このままでいたい……。








「なかなか会えなくてごめん。メッセージの返信もしなくてごめん。謝る事は山ほどあるのに与えるものは少ないかも」

「⋯私ならセイくんが隣にいてくれるだけで幸せだよ」



………そう、幸せ。

毎日忙しいのに、こうやって私の事を気にかけてくれているだけでも充分嬉しい。