高2の夏休み直前のある日から、何度かけても繋がらない彼の携帯。
発信中の画面は目に焼きつくほど眺め。
発信音はやまびこのように鳴り響く。

通じない気持ちにため息をつき、キャンセルボタンに指を落とす。




繋がらない電話にかけ続ける作業は、およそ1ヶ月間。
最低最悪のナーバスな気分が続いた。




限界だった。
もう、待ちくたびれてしまった。
彼の声が聞けなくなってから、まるで別世界に置いてけぼりになったような気分に。


長く続いた孤独の闇。

1人で考え込んでいるうちに。いつしか第三者の手によって、彼との未来に蓋をされているのではないか⋯と、疑問を抱くようになった。




一番深刻だったのは、彼の方から1ヶ月間丸々連絡がなかった事。
聞きたい事は電話をかけた回数ほど、積もり積もっていた。





自分がこのまま何もアクションを起こさなければ、関係が消滅してしまう。

電話が繋がらないのであれば、直接会いに行こう。
昼間の居場所はわかっているのだから⋯。



寂しさに堪え兼ねた私は意を決し、彼に会う目的で東校舎から職員室の中を全力で駆け抜けて行き、禁断の地である西校舎へ侵入した。