完全に包囲されてしまったセイ達は思うように身動きが取れない。
磁石のようにくっついてくる1年生の生徒達は2人の行く手を阻む。


セイは「ごめん、通して」と、生徒達の隙間に足を進ませて、1年生の教室の奥にある階段を上り始めた。



階段に差し掛かると、生徒達の甲高い声は更に響かせ2階3階へと吹き抜けていく。

これは、迷惑という二文字で片付く問題ではなくなった。



無数の山々に視界が阻まれる。
それでも、声の隙間をぬって紗南の元へ目掛ける。



一方、予想通りの展開を迎えたジュンは、先行く不安を感じ、差し迫った表情でセイの腕を引き寄せた。



「セイ。早くここを離れないと事態が更に悪化する。今すぐ西校舎へ戻ろう」



だが、セイは不服そうに首を横に振った。