高校生活最後の授業を終えたKGKの2人は揃って職員室に行き、教職員に最後の挨拶を済ませた。

その後は、昼から予定している記者会見会場のホテルに向かう為に、冴木が待つ駐車場へと足を進めていた。






毎日登下校時に踏みしめてきた道を一歩一歩辿りながらふと正面に目をやると、芸能科の生徒のみが利用する西門が視界に入る。



約2年間通い続けた学校は、卒業を待たずに自己都合の退学となり名残惜しく思う。

忙しくてまともに通えなかったけど、午後の補習授業を行ってくれた教師や、保健室のベッドを空けてくれていた養護教諭には、感謝のあまり頭が上がらない。


それに加え、紗南が流していた涙に後ろ髪が引かれる。



セイは門をくぐったと同時に、一つの疑問が浮かび上がった。



「あのさ、ジュン」

「…なに?」


「お前、紗南と知り合いだったんだな。だから、俺の為にと思って紗南を視聴覚室に呼び出してくれたんだろ」

「あっ…あぁ……」



歯切れが悪い返事が届いたので、何か引っかかるものを感じた。