「一方的に話が進められてまともに話し合えてないのに、このまま教室に帰せるかよ。俺に別れを受け入れろって言ってんの?」

「そんなに大きな声を出したら視聴覚室から声が漏れちゃう」


「だったら、何だよ。お前を失うくらいなら、罰でも世間からの批判でも何でも受け入れてやるよ」



セイは自暴自棄に陥ると、紗南の腕を握る手により一層力が加わった。



「それは絶対にダメ……。積み上げてきたものが全て台無しになっちゃう。お願い、今すぐに手を離して。もう教室に戻らないと」

「今ここで腕を離したら、俺らは二度と会えなくなる」


「セイくんの事はもう忘れるから、セイくんも私の事を忘れて。お互い別々の道を歩みながら頑張っていこうよ」

「何言ってんだよ。別々の道を歩むなんて納得がいかねぇから」



正直、心の中は焦っていた。
早くしないと理性を保つのが更に厳しくなる。


このまま勢いに押され続けていたら、アメリカに送るどころか『ずっと傍に居て欲しい』って言って引き止めちゃうよ。