《 将来の責任 》





そう言われてしまうと、これ以上反論の余地がない。



私が彼の活躍を応援するのか、それとも彼の将来を台無しにするのかの、二者択一。
彼女はわざわざ答えを聞かなくても、私がどちらかを選択するのかわかっている。

だから、最初から強気な姿勢を崩さない。



「留学は日程通りに進める。先日セイにも同じ話を伝えたの。それでもセイが今回の便でアメリカに向かわないとするならば、既に納入済みの留学費用の一部である600万円を自腹で返納してもらう上に、事務所から解雇して芸能界を引退してもらうつもりよ」

「芸能界を引退だなんて…。そんな……」


「その場しのぎの出まかせで言ってる訳じゃない。……私は本気よ」



ギロリと光らせた冷たい眼差しは、まるで金縛りにあってしまったかのように身体を硬直させる。





⋯⋯もう、結果は出ていた。

コツコツと積み上げてきた彼の将来を台無しにしたくないから、反論を辞めた。


応援する者、そして応援される側は、それぞれ自分の立ち位置を確認しなければならないのだろうか。