「冴木さんが私を目障りに思ってる気持ちはわかります。セイくんの傍から一刻でも早く引き離したい気持ちや、連絡を絶たせたい気持ちもわかります。でも、セイくんは悪くないのに、どうして……」



紗南は爆発しそうなほど感情的になり瞳に涙を浮かばせた。
信じ難い気持ちが心の中を支配する。

一方の冴木は、以前から2人の繋がる手段がスマホでしかない事を知っていた。
距離を置かせる為は、連絡手段の心臓部を塞き止めるしかないと⋯⋯。






冴木さんは連絡手段を根こそぎ断ち切れば、私達の関係も断ち切れると思ったのだろうか。
その後、彼をアメリカに送れば問題ないと?



彼女の警告を受け入れなかった自分1人の問題は、いつしか彼の日常まで影響を及ぼしていた。





しかし、紗南が悲痛に叫びを続けても、冴木は一切表情を揺るがせない。



「…そうね、セイは悪くないわ。でも、貴方が私の警告を聞かないせいかしらね」

「そんな……」



紗南への一方的な心理攻撃は続く。
太刀打ちしている戦力も、身の程を思い知らされていくうちに陰りを見せ始めた。