ーーブルーベル、ブルーベルッ!

「え……?ここは?わたくしは、さっき馬車に轢かれて……」

ーーそうね。全部見ていたわ

「…………見ていた?ここは、どこ?あなたは……?なにこれ、夢?」

ーー残念ながら夢じゃないのよ。私は女神ネーラ。貴女は馬車に轢かれて死んだの!!

「はい……!?」

美しい女神は満面の笑みでそう言った。


* * *


ブルーベル・ベネロシア
ブルーバイオレットの髪と晴れた空のような水色の瞳。
それとキリッとした目力のある凛々しい顔立ちは父譲りだ。
ブルーベルはベネロシア公爵家の次女として生まれ、今まで未来の王妃として厳しい教育を受けてきた。
マグラネーラ王国の王太子であるスカイラ・サルー・マグラネーラの元に嫁ぐ事は最高の誉であると、国王と王妃に耳にタコが出来るほどに言われていた。

ブルーベルの人生は、振り返りたくないほど最悪なものだった。

ブルーベルには双子の姉がいた。それがフューシャ・ベネロシアだ。
子猫のようなクリッとした大きなブラウンの瞳とピンクベージュの髪。
柔らかく人懐っこい雰囲気は母譲りだろうか。
フューシャは兎に角、我儘で要領の良い女であった。