そして、先生が看過してくれるのをいいことに、毎日僕らは保健室で語り合ったが、やはり引っ掛かることは今もある。

エイラは、明らかに今日の出来事ではないことを、リアルタイムのことのように話したり、相変わらず、ほんの一瞬目を離しただけで、最初から誰も其処には存在していなかったように消えてしまう。


ある日エイラが、

「21世紀の世の中って、一体どうなっちゃってるんだろうね」

そんなことを当たり前のように呟いたとき、僕は、この保健室では、非現実的なことが起きていることを確かめたくなった。

「あのさ、エイラ。今って何年だっけ?」

「え?95年だよ!もう、どうしちゃったの?」

そう言って彼女は微笑んでいたが、僕の頭は混乱した。

「エイラ…。今は2001年だよ…?」

そう言うと、エイラの笑顔が固まった。

「何言ってるの?…ウツは21世紀から来た人だとでも言うの?」