「ねぇ、空澄、
そういえば……」
空澄に『お世話になります』と言って。
それから三十分くらい経った。
時刻は十七時を回ったばかり。
今は空澄と一緒にソファーに座りテレビを観ている。
そのときに。
ふと思ったことがあり。
空澄に話しかけた。
空澄はやさしい表情でこちらを見ている。
「今日の早朝、
一度は家に帰ったけど、
結局、家から飛び出して公園にいて。
そのとき空澄とばったり会ったでしょ」
そのとき空澄は散歩をしていたと言っていた。
「あのとき空澄と会っていなかったら、
日の入りするまで公園で野宿することになっていた。
そのとき空澄が散歩していてくれた、
そして私に『家に来いよ』と言ってくれた、
そのことに感謝しかない」
だけど。
偶然、私がいた公園で散歩をしていたというわりには。
私のことを空澄の家に泊めてくれるまでの段取りが良過ぎるような。
それは。
空澄の手際が良いから?
「あぁ、そのこと?
公園で散歩してたこと、
あれは偶然じゃねぇよ」
「え……⁉」
『偶然じゃない』
空澄のその言葉に驚いた。
偶然じゃないのなら。
なぜ公園に?