「どうしよう、これから」


 家を飛び出し。
 それから五分くらい経った。


 そうしたものの、どこかに行くあてもなく、とりあえず家から一番近い公園に来た。


 まずはベンチに座ろうと思い、そちらの方へ向かう。


「……っ」


 そのとき。
 受信音が鳴った。


 メッセージを確認すると。
 お母さんからだった。

 それからもメッセージは続けて送られてくる。

 その内容は。

【一晩中どこにいたの?
『友達の家に泊まる』ということは教えてくれたけど。
 それでも、やっぱり心配していたのよ】

【お父さんの言い方はきつかったかもしれないけれど、
 お父さんなりに彩珠(あじゅ)のことを心配していたのよ】

【友達の家に泊まるとはいっても、
 相手はどこの誰なのか、全くわからなかった。
 だから、やっぱり心配になって。
 お母さんもお父さんも彩珠のスマホに連絡したけど、
 つながらないから余計に心配になって】

【それから、さっき玄関先にお父さんがいたとき、
 お母さんはリビングで待機していたの。
 お父さんに『そうしていなさい』と言われて】

【だから彩珠がお父さんから𠮟られていたとき、
 その声は聞こえていたの】

【だけど𠮟るにしても限度を超えていたように思ったから、
 何度もお父さんに声をかけようと思ったの】

【だけど、お母さんにその勇気がなかったから
 彩珠のことを助けることができなかった。
 本当にごめんなさい】


 お母さんからのメッセージ。
 私のことを心配してくれている気持ちがとても良く伝わってくる。