現実の世界で夜が明ける三十分前。


「じゃあ、また今夜な」
「また今夜ね」
「うん、また今夜」
「あぁ、また今夜な」
「また今夜」


 現実の世界に戻り。
 私たち五人はそう言い合って、それぞれの家に帰って行く。


「彩珠」


 そのとき。
 空澄が私のことを呼んだ。


 彩珠……。

 空澄から下の名前で呼ばれる。
 そのことは、やっぱりまだ慣れない。
 ……というか、なんだか照れくさい気持ちになる。


「なぁに」


 そんな気持ちになりながら返事をする。


「方向、同じだよな。
 途中まで一緒に帰ろう」


 空澄とは小学校と中学校が同じ。
 同じ学区内だから家も同じ方向になる。


「うん」


 空澄の言葉に。
 私はそう返事をした。