空澄(あすみ)たちが私のことを救い出そうとしてくれたときから一夜明けた。


 今は家族全員で朝食を食べるためテーブル席についたところ。


「お父さん」


 今しかない。
 そう思った。


 親父は仕事が忙しく、なかなか話をする機会がない。

 この機会を逃したら、またしばらく話をすることができなくなってしまうかもしれない。


 だから。


「話があるんだけど」


 勇気を出してそう言った。


「話?
 どうせくだらないことだろ。
 父さんは忙しいんだ。
 そんな話を聞いている暇はない」


 親父は面倒くさそうな表情(かお)をしてそう言った。


「そんなに時間は取らないから。
 少しだけ話を聞いてほしいの」


 親父がどんな態度や表情(かお)をしても。
 諦めない。
 今の私は。


「お前の話など聞く必要はない」


 親父に何度そう言われても。


「そんなこと言わないで、
 お願いだから聞いて」


 諦めない、絶対に。


「今も言ったように父さんは忙しいんだ。
 お前のように人生負けてばかりの者の話など聞くだけ無駄だ」


 ダメだ。
 親父には丁重にものを言っても通じない。

 こうなったら。