私も電車で帰るため、最寄りの駅まで歩いていた。


「亞梦」


振り返ると、そこにいたのは宏太だった。


「…亞梦、まだ時間平気?」


「え?うん…。あんまり遅くならなければ大丈夫だけど、どうしたの?」


私がそう聞くと、いつもみたいな穏やかな感じに混ざる切なそうな微笑み。


「ちょっと俺さ、亞梦と話したいことがあるんだ。着いてきてくれない?」


な、なんで…?さっきも私の正体を知ってから、心ここにあらずって感じだったし…。


もしかして、また何か言われるのかな。


「いや、あの…」


「話が終わったら家までちゃんと送る。柊にも許可取ってある。それじゃダメ?」


なんだろう。危機感を持たないといけないのに、それすら鈍らせてしまう感覚になる。


でも、正直な話、不安だ。


「でも…」


「お願い。少しだけだから」


強制も無理強いもされていないのに、ねだるような刹那げな声。


「じゃあ、少しだけなら」


「ありがとう。じゃあ、こっち」


宏太は安心した様子で案内してくれた。