イルバートと別れ、エステルの姿を探して広間を歩き回った。

 ダンスに興じる人々の間をぶつからないようにすり抜けて進むと、壁側に立っているグリーンのドレスの令嬢と目が合う。


「……ガレット」
「フェリクス殿下、お待ちしておりました。ちなみにわたくしはガレットではなく、アレットでございます」


 相も変わらず美しいお辞儀カーテシーを見せるアレット・ミドルダムだが、今は彼女に構っている場合ではない。ご機嫌を損ねてしまったエステルと、もう一度ゆっくり話をしたいのだ。


「殿下、お待ちください。殿下と私の婚約の話は、もう立ち消えてしまったのでしょうか……。今日は私と踊って頂けるものとばかり思っておりましたのに」
「すまない、ガジェット。私は今、人を探しているのだ」
「フェリクス殿下、わたくしはガジェットではなくアレットです」
「ああ……そうだったか」