むかしむかしあるところに、ジジィとババァとイッヌがいました。三人(さんにん)はとても仲(なか)が良(よ)く、何(なに)をする時(とき)も一緒(いっしょ)です。


そんなある日(ひ)、イッヌが言(い)いました。


「おいババァ」


とても腹黒(はらぐろ)い声(こえ)でした。


「なんだ、イッヌでしたか」


ババァは余(あま)りの声の腹黒さに、誰(だれなのか一瞬分(いっしゅんわ)かりませんでした。でも、声の主(ぬし)がイッヌだったことに、安心(あんしん)しています。


イッヌはまたもや腹黒い声で言いました。


イッヌは言いました。


「死ねよ」


「は?」


ババァは困惑(困惑)の顔をしていました。


「おぉ〜!いいな、死ねよ」


ジジィはイッヌの提案(ていあん)に乗りました。


「え、ちょ、お爺さん、イッヌ......。冗談(じょうだん)はよしてくださいよ」


ババァは冗談だと思い、笑い飛(と)ばそうとしました。


でも、上手(うま)く笑えません。「死ねよ」なんて冗談、さすがに過激(がけき)すぎです。


「は?冗談なわけねぇだろ。さっさと死ねよ」


イッヌは可愛(かわい)い見た目とは裏腹(うらはら)に、図太(ずぶと)い声でそう言いました。


「イッヌ、いっせーので」


ジジィのその声で更(さら)なる地獄(じこく)が始(はじ)まりました。


ババァは鬼が島に連れていかれました。


「離(はな)してください!お爺(じい)さん!」


鬼が島にババァを連(つ)れて行って、ジジィは何(なに)をするのだろうか。


「ダメじゃ。お前(まえ)は鬼が島(しま)で死(し)ぬ運命なのだ。」


──────運命?


「運命(うんめい)は、変えられないのでしょうか。」


気になってそう尋(たず)ねてみる。


すると、ジジィとイッヌは大笑いした。


「変えられるわけないに決まってんだろ!ほんっと馬鹿(ばか)じゃのう。」


その時、鬼(おに)の叫(さけ)び声(こえ)が聞こえました。


「きゃっ!」


ババァのその声に、ジジィとイッヌはまたもや大笑(おおわら)いしました。


「90を超えたくそババァのくせに、そんな高(たか)い声あげるな。」


ジジィに続(つづ)いて、イッヌも言います。


「その声上げていいのは、せめて40までだぞ笑」