いよいよ、王宮での夜会の日となりました。

 今日の私はというと、呪いのドレスを身に(まと)い、エメラルドのやけに重いネックレスを身に着けております。国王陛下への御挨拶を無事に終えて、殿下と待ち合わせ(・・・・・)……ではなく、合流して一息ついていたところ。

 グランジュール王家では、王国北部の鉱山で採れるザミニ石という石でできたエメラルドグリーンのアクセサリーを婚約者に送るのが習わしだそうです。特に第一王子の婚約者には、大きくて立派な石が選ばれます。

 とにかく首が重い……。
 オリンピック選手養成用なんじゃないの?


「コレット、すごく綺麗だよ。今すぐ結婚しよう」
「殿下、お友達同士はいきなり結婚したりしませんよ。お断りです」
「……チッ……勢いで頷くかと思ったのに」


 王宮の広間はとてもだだっ広くて天井も高く、楽団の生演奏の音色が美しく響きます。ダンスが始まりましたね、私と殿下も踊りましょう。

 あら、ヒロイン・メイ様登場です。
 広間に入るやいなやアラン達のところに寄って行きましたね。誰かと踊るのでしょうか。アランとマティアス、ジョージが顔を見合わせて何か喋ってます。そして……マティアスが行きましたーっ!

 罰ゲーム感満載ですが、マティアスとメイ様が踊り始めましたね。なんだかんだ言って、夜会は穏やかに平和に過ぎていきます。メイ様の行動を気にしてみんな身構えていましたが、このまま平和に終わりそうですね。

 ……と、思ったのに。


(ガシャーン)


「きゃあぁぁっ!」


 夜会の場に、甲高い悲鳴が響きます。