あれは何?
 なぜコレットが攻略対象をいっぱい連れてランチしているの?

 まだ出会えていないジョージ・ローリングを探して裏庭に来てみたら、これよ。丸いテーブルに付いて楽しそうにランチしているのは、コレット、その横に王太子レオ。アランにジョージもいるわ。
 レオがやけに不満そうな顔なのが気になるけれど、こんなチャンスみすみす逃すわけないわよね。行くわよ、あの中に。


「こんにちは! 楽しそうですね、私もご一緒してもよろしいですか?」


 ふんわり笑顔で、自慢のピンクの髪を揺らしながら話しかけたわ。……ちょっと、誰か返事をしなさいよ。


「メイ様、こんにちは! よろしければそちらのベンチにどうぞ」


 あらコレット。あなたには話しかけてないわよ。それにしても丸いテーブルにベンチをセットするなんて、ちょっとこの学園何考えてんの? 微妙にテーブルに遠い感じになるし、座る角度的に食べにくいじゃないの! 私だったらテーブルの曲線に合った、扇形の長椅子とかを特注するわよ。

 そんな座りにくいベンチの中央に座っていたジョージは、やけに端っこの方に避けたわね。ちょうどいいわ、ジョージにも挨拶しましょ。


「初めまして……ですよね? 私、メイ・レーマンです。ここにいる皆さまとはいつも仲良くして頂いているの。よろしくお願いします!」
「……ああ」


 何よ。目も合わさずに一言だけ? ジョージって可愛い系貴族じゃなかった? 出会いイベントもすっぽかされるし、まさかこの世界、バグとかあんの?


「ねえ皆さん、今週末の王宮での夜会はどうなさるの? 私はお父様と一緒に参加する予定なの。皆さんともお会いできたら嬉しいわ!」

 ……何でみんなそんな驚いた顔してこっち見てるの?


「レーマン伯爵と?」
「ええ、そうです……そうだわ、レオ! 当日は私と踊ってくれる?」


 レオ、顔めっちゃ怖い。一体何なのよ、この集まり! 全員ちょっと様子おかしいわよ?
 最近なぜか全然レオに会えなくなった。アランだって、今まではいつ見ても近くにいたけど、最近全然現れない。何だかこの人たち、ゲームと違って予測不能な動きをするのよね。好感度上げるようにいっぱい関わっておかなくちゃ。


「……メイ」
「レオ、なあに?」
「私のことを名前で呼ぶのはやめてくれないか」


 へっ? 何よ急に!今までずっとレオって呼んでたじゃん!


「メイ、王太子殿下に対して勝手に名前でお呼びするなんて失礼だと思わないのか! 殿下とお呼びするように」


 急にアランが出張ってきたわよ。えーっと、どういう事? いよいよバグなの? そんでコレット! 何でアンタそんなにオロオロしてんのよ! 関係ないでしょ!