続編 第11話「悪役令嬢はヒロインに生まれ変わる」の、コレットsideのストーリーです。


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 レオ様から改めてプロポーズしてもらって、お互いのモヤモヤやすれ違いも解消して、何だか落ち着いちゃったわ。

 ……今から何すればいいの?

 ソファに並んで座って、笑顔で見つめ合う私たち。ただニコニコしているだけで数分過ぎた気がするんだけど。

 一応ここ、突貫工事とは言え私の部屋よね? そして私たちは一応結婚したし、お互いの両親にも報告済み。つまり……今日からはリード公爵邸には戻らず、ここで寝るのよね?
 レオ様……いつ自分の部屋に帰るの? ちょっと長居しすぎじゃない?


 正直に言うわ。


 ……眠いの。


「えー、あー、コレット」


 あ、やっと部屋に戻るのかしら。この笑顔の沈黙に耐え切れなかったのよ! 良かったわ。

 私ね、前世で一つだけ後悔していることがあるの。これから修学旅行に行く人がいたら、絶対に私のアドバイスを聞いて。部屋割りを決める時は安易にジャンケンに走るんじゃなくて、早く寝たい人と夜更かししたい人に分けて部屋割りして!

 私ったら早く寝たい派なのに、同室の夜更かししたい人たちのせいで全然寝られなかったのよ。高校の修学旅行。

 ……あれ? 何の話だっけ。


「何だか今日は疲れたな」
「そうですね。パーティーにも出たし、神殿にも行ったし、大変な一日でした」


 私も移動移動で疲れちゃったわ。何だかあのベッドがフカフカそうだし、早くベッドに飛び込みたい! モフッと!


「レオ様も連日の公務でお疲れでしょう?」


 あ……まずいわ。あくび出ちゃう。
 とりあえず手で顔を隠してあくびしちゃおう。ちょっと涙目になったかもしれないけど……レオ様もそんなにまじまじと見てないわよね?
 指の間からのぞいてみようっと……うわっ、めっちゃ私のこと見てた。


「疲れたかと言われたら……そうだな。まだもうひと頑張りくらいはいけるかも……つまり疲れてないのかな」


 ……ええっ、そうなの?
 こんなに毎日社畜のように働いて痩せて不健康そうなのに、早く寝た方がいいと思うわ。レオ様、無理しなくていいのに。

 まあ、気持ちは分かります。一度に色んなことが起こると、逆に興奮しちゃってなかなか寝付けないってことがあるわよね。でも大丈夫です、レオ様。この五カ月間放置されている間に、私ハーブティーに詳しくなったんです。心をリラックスさせて寝つきを良くするお茶がありますよ。


「レオ様がよろしければ、私が入れてもよろしいですか?」
「入れる……? 何をどこに?」
「お茶を、カップに……」


 なんなの? お茶をピッチャーとかで飲む気? 何かお昼に辛いものでも食べたのかしら……

 やっぱりそうだわ。何だかレオ様の様子がおかしいと思っていたの。きっと激辛ランチを食べて喉も乾いて、お腹も痛いんだわ。その証拠に、さっきから妙に下半身を気にしてチラチラ見てるわよね。

 私分かる。あれは、腹痛よ。
 よく眠れるハーブティーより、お腹の調子を整えるお茶がいいかも。