遠回りしてしまいつつも何とかサロンまでたどり着き、カレン様にお待ちいただいた。その足で急いで自室を探して戻ってメイド服を脱ぎ、着替えてからウォルターを探す。ああ、もうこの迷路屋敷! いちいち面倒だわ!


「奥様、どうなさいましたか! そんな格好で……」
「あっ、ウォルター! 急ぎ旦那様を探しているのだけど、どちらにいらっしゃるのかしら」


 急いで着替えたから髪の毛がボサボサだったみたい。ウォルターに驚かれてしまった。


「ご主人様ですか……あ、えっと今は……あの」


 ウォルター。こんなに分かりやすくうろたえるなんて……きっと旦那様は浮気相手さんのところにいらっしゃるのね。

 ……察したわ。


「カレン・ゲイラー様というお客様がお越しなの。旦那様を呼び戻して頂くことはできる?」


 さすがに浮気相手さんと一緒のところに、名ばかり本妻が突入するわけにもいかない。ましてや、何かの真っ最中だったらどうするの。

「かしこまりました、すぐにお呼びしてきます。奥様はカレン様のお相手はなさらぬよう、お部屋にお戻りください」

 そう言ってウォルターは、小走りで去っていった。

 カレン様のお相手はするなと。
 ますます怪しいではないですか。

 やはり、カレン様も旦那様の餌食になったのかしら。