その場にいない旦那様への永遠の愛を誓うという単独結婚式を終え、私はシャゼルの屋敷に戻ってきた。私の部屋はきちんと整えられていて、暖炉には火も灯っている。
 暖炉の前に座ると、花嫁衣裳のまま旦那様を待ち続けた疲れと、冬の風で存分に冷やされた体が解けていくように感じてほっとした。

(ああ……疲れた……)

 もしかしたら初夜に来なかったりして……なんて心配したりしていたけど、まさかその前段階の結婚式にすら旦那様が現れないなんて、誰が想像しただろうか。
 想定外の事態だけど、このままいけば、今晩旦那様が私の寝室を訪れることもないだろう。

 まだ顔を合わせてもないというのに、これは相当嫌われているのかもしれない。魅力的な浮気相手さんたちに囲まれて、今頃お楽しみなのかしら。

 『離婚する』と言ってくれれば……母の元に帰れるのかな。でも、のこのこと王都に戻ったら、お父様に何と言われるか分からない。やっぱり私はここでやっていくしかない! いいじゃないの、浮気相手さんがたくさんいることなんて初めから分かっていたんだし。