「……ユーリ様は、私にリカルド様の妻になれと仰いました」


 ユーリが王都で見かけて好きになったという菫色の髪のご令嬢は、思いもかけぬことを口にした。


「は? 何それ? 君たちまだそんな感じなの?」
「まだも何も、ユーリ様はあなたの身代わりだったんです! 私がいくらユーリ様のことを想っていたって、それ以上どうしようもないんです!」
「おかしいなあ、もう少し進展してるかと思ったんだけど」


 ウォルターからの報告では、二人で食事をしたり出かけたりして仲を深めているっていうことだったんだが……ユーリは、カレンと同様にこのリゼット・ヴァレリーのこともそんなに好きじゃなかったのか?