翌朝。
私は久しぶりにゆっくり眠り気持ちよく目覚めた。
完全防音って言うだけあって部屋はとっても静かだったし、ベットのスプリングも絶妙な硬さで一度も目が覚めることなく朝を迎えた。
それは登生も同じだったみたいで、珍しく朝まで眠ってくれた。

「りこちゃん、おなかすいた」

朝、6時半。
昨日の夜あんなに泣いていた登生が、何もなかったかのように朝食の催促をする。

「はいはい、帰りにパン屋さんへ行こうね」
「えー」
ぷっと頬を膨らませる登生。

「じゃあお家に帰ったら美味しいフレンチトーストを作ってあげるから」
それでいいでしょと顔を覗くと、
「うん」
ニコニコ笑顔に戻っている。

そうと決まれば早く帰ろう。
中野さんはまだ眠っているかもしれないから、とりあえずお礼だけ伝えよう。
帰ったら保育園へ行く支度もしなければいけないし、部屋も昨日出てきたときのまま。やらないといけないことはたくさんある。
そんな事を考えながら、登生の手を引いてリビングへ向かった。