「やっぱり飲ませすぎたね」

あのメールのせいでピッチが上がり、限界以上に飲んだ私は完全に酔いつぶれてしまった。
歩けなくなったのを見てホテルの部屋をとってくれた淳之介さんが、私を抱えるように部屋まで運んでくれた。

「せっかくだからスウィートルームにしたよ。ここなら寝室も二つあるしね。だから俺も泊まらせてもらうから」
言い訳のように言っているけれど、ここまで運んでもらっておいて文句なんて言うはずがないのに。

「ありがとう。素敵な部屋ね」

それにしても、高そうな部屋だなあ。
きっともう二度と来ることはなさそうな場所。

「大丈夫?お水持ってこようか?」
「うん」
私は素直にうなずいた。

幸せだな。
美味しいお料理を食べて、好きなだけお酒を飲んで、こんな素敵な部屋に泊まるなんて夢みたい。

ブブブ ブブブ。
淳之介さんの携帯に着信。

「ちょっとごめんね」と断って淳之介さんは部屋を出ていった。