急いで用意をして家を出ようとしたが、遅刻は遅刻。今走っても2限の授業中にたどり着いてしまう。それなら2限が終わって3限までの間に辿り着くのがベストだ。

普段出歩かないような時間に街に出る。


「案外制服の子もいるんだ」


きっと同い年くらいだろう。大きな声で笑ってる男女の集団が前にいる。これは遅刻ではなくサボりだね。

ウィンドウショッピングでもしようかとその集団を通り過ぎようとしたとき、見覚えのある顔に驚いて足を止めた。

びっくりした


身体はいつになく素直だ。
ビクッと跳ねて、そそくさと人通りの少ない路地の方へ足が動いた。

集団の奥から歩いてきた男の人。



先輩だった。

やだな。まだこんなに意識してしまうなんて。
決して好きだから、じゃない。本当にトラウマなんだ。
浴びせられた言葉に、次の日から流れる嫌な噂も、全部……トラウマだ。


フラフラと何も考えずに歩いた。昨日の非通知さえ先輩じゃないのかって思えてくる。
よく気が強そうだとかメンタルが強そうだとか言われるけど、そんな事はない。そう周りに見えるなら、私が頑張ってるだけ。


「……ここ、何処だろ」


下を向いてウロウロしていたら、見慣れない狭い道にいた。人混みを避けるように歩みを進めてたどり着いた場所。