私たちが本当の夫婦になったのは、それから3日後の夕方。

結婚式を終えた後すぐに、私と宗君は婚姻届を提出した。
婚姻届が受理されると、ようやく宗君との結婚を実感したような気がした。

結婚式では衣装を着替えたり、彼の会社関係の人たちに頭を下げたりと目まぐるしく、宗君に見惚れる暇もなかった。

そのうえ、宗君の前で正君と誓いのキスをしたくないがために、チャペルでの挙式を省き、披露宴だけ行ったことが実感できない要因かもしれない。

また、式の終わりの来賓者へのお見送りも人数が多いためかなり時間がかかり、結婚式というより、挨拶回りをした気分だった。

最後に身に着けていたものが着物だったこともあり、父のアシスタントとして働いている時のような錯覚にも陥り、すべてのプランをプランナースタッフと母たちに任せたことをちょっぴり後悔した。

せっかく想っていた人と結婚したのだ、もっと真剣に向き合えばよかったと思ったが、戸籍上夫婦になったことで、後悔は吹き飛んだ。

これから宗君の妻として、結城梨華として生きてゆく喜びは、私の胸一面に広がっていた。