結婚して5か月と少し経った。
宗君への想いは日々膨らむばかり。

夫婦生活は今もまだないけれど、一緒に食事をしたり並んでテレビを見たりと、両親のような一般的な夫婦のような生活を送っている。

最近では、公園で話をした庭園について、1年を通して楽しめるものにするには何がよいのか、という議題に対し、本やネットを見ながら季節の植物のこと、またその配置や彩りなどの話をすることが多い。

そんな穏やかな日々を送っていたが、ある日の午後、宗君との結婚生活を継続していくのに自信がなくなる事件が起きた。

私はこの日、生け込のために宗君の会社に来ており、エントランスロビーの目立つ部分で一人黙々と作業していた。

実はここに来るのは久しぶり。
結婚後は式に出てくれた人もいるので、気を遣わせるのでは、と考慮し控えていた。

秋は枝ものが凛と伸び、実ものたちが綺麗に色づく季節なので、動きが出て創作意欲がわく。
密かに楽しみながら生けていると、背後から「あなた」と、声をかけられた。

その声だけで誰かわかってしまうのは、彼女のことを意識しているからだ。