「じゃあひとつだけアドバイス。この積み木は数字ばかりに囚われやすいけれど、目印は本当にそれだけ?ってこと」



散らばった積み木は相変わらずで。
重ねられない私も相変わらずで。

けれど自分から「お願いします」と、リハビリを頼んでいる意欲的な最近で。


うーんうーんと悩みつづけている私を見つめた主治医は、ここにきて初めてアドバイスを出してくれた。



「……あ。そういえば形と色もそれぞれ違う、かも」


「そう、大正解ね」



こんなこと普通なら一目見れば分かってしまうのに、わからないのが私だった。

目の前のことばかりに囚われてしまうと周りが見えなくなってしまう。

完成させなくちゃとどんどん焦れば焦るほど、一点集中で。


それでも私の小さな気づきを嬉しそうに笑った胡桃ちゃんが今日はリハビリに付き添ってくれた。



「記憶に残したものを思い出すってことは、そのシンボルの周りにあった情報も大切になってくるの。
ひとつひとつゆっくりでいいから、関連性を取り出して落ち着いて思い出してみて」


「うん、」



毎日やっていることだ。

もし記憶に覚えていなくても身体が覚えているかもしれない。