どうやら私は、些細な記憶を忘れてしまう病気らしい。



「……なに買うつもりで来たんだっけ、」



この時間であればいつも以上に静けさが広がる購買。

ジーーッとアイスコーナーから響いてくる音を耳障りに思いながら、22:30近くになることだけは思い出してアイスコーナーへ近寄った。



「たしか……暑さで寝付けなくてアイス買おうとしてたの。そうそう、絶対そう」



そんなことでは無かったような気がする。

それだけは心のどこかで分かっていつつも、まぁいいかと楽観的な性格で無理やりにも納得した。


指定の入院服には未だ慣れず、それまで通っていた高校のジャージ。

自分は高校生なのだと、この町ではわりと偏差値の高い女子校。

そこへ通っている普通の高校生なのだと。


周りに見せしめるための小さな小さな攻撃を身につけて、ソーダアイスを手にした。



「ななせちゃん、まだ起きていたの?早めに寝なきゃだめよ~」


「……」



160円ちょうどを出したところで、受け取ったレジカウンターの女は笑いかけてくる。

それでも返事をすることは出来なかった。