MRI検査、エコー検査、心電図、ABI検査。

いわゆる脳ドッグと一般的に言われる検査は、17歳の私に一定周期で行われた。



「これで最後だからねななせちゃん」



ピピッと音を鳴らせて機械を操作するレントゲン医師は、私がいつも嫌々受けているとでも思っているのだろう。

ただ横になってじっとしているだけだから、別に体力もそこまで使わない。


リハビリで自分の情けない記憶力を突き付けられるよりはずっとずっといい。



「よし、終わった。お疲れさま」


「…ありがとうございました」


「ちょっと待って。いいものがあるんだ」



診察室を出ようとすると、いつもより特別感を出しながら引き留められる。

そこまで期待もせずに待っていれば、「ご褒美」と渡されたのはチョコレート。


ここはありがたく受けとるべきだと頭を下げつつも、ぽつりと吐き捨てるように言ってしまった。



「…これじゃなくて治してほしい」



途端に空気は誰だとしても感じ取れるくらいにひんやりしたものへ変わる。

いつも温厚な40半ばの先生の笑顔はピタリと止まって、「大丈夫」と言うように頭をぽんぽんと撫でてきた。