いつものように、自分のベッドで目を覚ましたシュエットは、くわぁと大きなあくびを一つして、これまたいつものようにベランダへと続く窓を開けた。

 日光を浴びて少し目覚めた体を動かして、シュエットはキッチンへ向かう。
 
 戸棚にしまってあった綺麗なカップを取り出して、小鍋でカフェオレを作る。

 シュエットは魔術が使えないから、この家のコンロには炎の魔法石が使われていた。

 魔法石は、魔力がない人でも簡単に使うことができる優れものだ。

 異国ではよく使われているらしいが、この国にはほとんど必要がないものなので、とても高価らしい。父が娘を溺愛していて良かったと、この時ばかりは思う。